【ダイエット小説】僕はこうして痩せました(仮)vol.3

僕は目を覚ました。ぼんやりと昨日の飲みの時間が楽しくてその楽しいという感情のみが心の中に残っていた。何が楽しかったのか、は全く思い出せないのだが楽しい感情だけが残っているのでこれはこれでいい気分である。だからお酒を飲んでいる訳ではないが朝にこういった感情になることがよくある。といってもこの感情に浸っている時間はない。今日は出勤日である。家からヒーリングスペースまではそこまで時間はかからないが1時間前までには出勤したい。最低でも30分前にはお店に着かないと朝の準備時間が足りなくなってしまう。僕は慌ただしく開店時間を迎えたくない。余裕を持って10時を待ちたいのだ。気が急くのは好きではない。ミスも多くなる。できれば20分前には準備万端にしておきたい。今日の仕事のパートナーは咲ちゃんだ。なかなかの頑張り屋さんで気が強い。安心して仕事ができるパートナーである。僕は慌ただしくハミガキ、朝食、トイレと済まし出かける準備をした。
家を出たのは9時10分過ぎ。いつもより遅め。僕は自然と早歩きになった。といってもヒーリングスペースは徒歩10分のところにある。9時30分までには余裕で着く。でもいつもよりは遅めなので気持ちが焦っていた。お店に入るとすでに電気が点いていた。
「遅ーい。何なん?また昨日飲んでたん?」高橋咲は年上の僕にタメ口で話してきた。同期なので当たり前である。
「ごめーん。ムーンライトで飲んでた。だいぶ飲んでしまった。今日は早いやん」
「何言ってんの、いつもこれくらいやわ。家が遠いからこの時間には来てるやん」
「そうやったか、挽回するわ」
「当たり前やん、今日先は佐々木さんな」
「まじか。まぁしゃあないなぁ」
先というのは施術の順番である。もちろん先に施術した方が仕事量が増える。2人で先も後ないじゃないかと思うかもしれないが2人だからこそ先に施術する方が精神的に負担がかかる。ガンガン気合が入っていればどうってことないがアルコールを飲み過ぎた次の日の先はしんどく感じる。
結局、咲ちゃんと僕は6人ずつ施術した。先も後もなく同じ人数である。施術時間がお客さんによって違うがヒーリングスペースは60分コースが安くなっているのでお客さんのほとんどが60分コースを選ぶ。だから6人の施術というのはなかなかの重労働である。6人目の施術が終わるとホッとした気持ちになる。
「お疲れ〜」ホッとした顔で咲ちゃんが言う。
「お疲れさん」僕も同じくホッとして言葉を返す。
「なかなか来はったなぁ」
「ホンマやなぁ。平日でこのボリュームは特別手当が欲しいなぁ」
「そんなんつくわけないやん。帯刀さんやで」咲ちゃんは皮肉交じりで言った。
「そうやけど。それにしても帯刀さん一人勝ちやな」
「ホンマや。スタッフに還元しいひん」
「俺がオーナーやったら違うやり方するで」
「佐々木さん、お店やリーやー、私働くで」
「ホンマに?でも俺お金ないわぁ」
そこで二人は笑った。僕は本当にお金がなかった。そんな状況ではあったが自分のお店を持ちスタッフを雇い僕らしいやり方でスタッフに還元するやり方を考えていた。
「そうや、咲ちゃん。俺って太ってる?」
「いきなり何?」
「いや、俺って太ってるかなぁ?」
「うん、太ってるよ」
「ストレートやなぁ」
「体重なんぼ?」
「91kg」
「91kgあるようには見えへんなぁ。でも見た目は太ってる方でしょう、自覚ないの?」
「あんまない。ほとんど気にしてへん」
「まぁそれが佐々木さんちゃうか」
「それって褒めてんの?」
「どっちでもいい」
「しかし疲れたなぁ、お疲れさんしようか?」
「お酒?ごめんやめとくわ」
「えーあかんの?せっかく疲れたのに」
「体型気にしてたんちゃうの?佐々木さん痩せなあかんで」
「ええねん、ええねん、じゃあひとり寂しくムーンライト行くわ」
「いってらっしゃい、飲み過ぎんときや」
「ありがとう、じゃあお疲れさん」
「お疲れさま」
咲ちゃんと僕は閉店作業を終えて咲ちゃんは駅の方へ歩いていった。僕はといえばムーンライトに行くべきかやめるべきか迷っていた。ひとりお疲れさんをするか家に帰るか、の2択だ。
そういえばメッセージが届いていたな。時間がなくて見られていない。
イツァムナー 「お前、痩せなあかんで。そのままでいいんか」
またイツァムナーだ。誰やねん、コイツ。うっとおしいやっちゃなぁ。でも咲ちゃんもあらさんも太ってる感じのこと言っていたなぁ。やっぱりシュッとしていた方がいいもんなぁ。でも痩せるって大変ちゃうかなぁ。きつい運動もせなあかんし。出来る気せえへんわ。くよくよ考えてもしゃあない。とにかく今日はムーンライトに行こう。僕はムーンライトに電話をかけた。
「今日行ける?」
「すんません。今日満塁なんですわ」
「(お客)帰りそうにない感じ」
「そうですね。延長戦って感じですわ。御免なさい」
「りょーかい」
僕は仕方なくコンビニで6缶パックのビールを買った。帰りながら僕は漠然と俺痩せようかなぁって思った。とても本気とは思えない状況での痩せようかなぁである。全く説得力がない。何と言ってもしっかりとビールを買っているのだから。そして言うまでもなくその6本を一晩で飲み干していた。
今週はここまで
では
今日もよっしゃーで
いきましょう!
かげやん
「46歳の僕が11kg以上痩せて思ったこと」
199円。
9000文字程度のボリュームです。
ダイエットの興味のある方はご覧下さい。
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