【ダイエット小説】僕はこうして痩せました(仮)vol.1
「あと5分」僕は年下の先輩である澤村新(さわむらあらた)に言った。
澤村はそれには答えず「また太りました?」と聞いてきた。
「太ってるわけないやん(笑)」いつものように返した。
「ラガーマンみたいですよ」
「誰がCMにも出ていた人気者の○郎丸やねん」
「古いですよ。ほんで良過ぎますよ、せめてモノマネの松村○洋ですよ」
「それも古いやん。せめてグッチ裕○にして」
「小太りですね。なんでグッチ裕○やったらいいんや(笑)」
「8時(20時)になってるで!」
「締め作業、早く終わらせましょう」
2人はものすごいスピードで作業を終わらせた。
「さぁ、食べるでぇ」と僕は笑顔で言った。
「あんまり飲み過ぎんといて下さいよ」と澤村も笑顔で言った。
なぜ、二人が笑顔なのか?
それは人気しゃぶしゃぶ店「豚が豚を呼ぶ」にこれから行くからである。
「豚が豚を呼ぶ」というちょっと攻めた名前のお店は食べ放題である。
食べ放題なのに美味しいしゃぶしゃぶが食べられるということでいつもお店は満員。
予約をして行かないとかなり待ち時間を覚悟しなければいけないお店だった。
もちろん予約はしてある。21時から佐々木で2名で予約。佐々木とは僕の苗字である。
でも予約したのは僕ではなく新(あら)さんである。
僕は10歳年下の澤村新のことを尊敬を込めて「あらさん」と呼んでいる。
あらさんは気配りの人でこういう男二人での飲み会でも予約をしてくれる。
10歳下とは思えないくらいの気配りができる。そんなあらさんに甘えてお店の予約も任せていた。
あらさんの車の助手席に座って豚が豚を呼ぶに向かっていた。
その車の中ではニルヴァーナが流れていた。
「懐かしいなぁ。あらさんよくニルヴァーナ知ってるなぁ、ニルヴァーナって俺らの時代の音楽やで」
「ニルヴァーナはカッコいいですよ。姉貴から教えてもらったんですけど一回聞いて速攻CD買いました」
「あの(CDの)ジャケットもいいよね。よく聞いてたわ」
「カートコパーンってビートルズに影響を受けてるんですよね」
「ビートルズに影響を受けているっていうのは聞いたことあるわ」
「慶さんの学生時代って何が流行っていたんですか?」
「僕らの時代はハードロックが流行っていたなぁ」
「ハードロック?」
「スキッドロウっていうバンドのライブを大阪城ホールまで観に行ったわ」
「へー、好きだったんですか?」
「いや、適当やわ。ムッチャ好きってわけではないんやけどその時の友達がハマってて一緒に行ったわ」
「ふーん。ライブいいっすよね」
「いいねぇ。弟がバンドやってたからジャズライブも観に行ったことあるで」
「そうなんっすか?」
「近所でライブがあって1000円で観れた。俺自身はジャズの良さ全く理解せずに観てたわ。ワンドリンクで生ビール頼んだ。弟はスコッチロック頼んでた。弟は今でもバンド組んでライブしてるわ」
「いいっすねぇ。夢あって」
「どうなんやろうね」
そんな会話をしていたらお待ちかねの「豚が豚を呼ぶ」の駐車場に着いた。
お店に入ると2組のグループが待っていた。
男子3人組のグループと男女4人組のグループ。どちらも大学生っぽい。欲のない今時の大学生という感じだ。今が楽しければいい、そんな感じだ。そのグループに少しうっとおしさを感じながら受付へ。
「21時から予約をしていた佐々木です」僕は伝えた。
「2名でご予約の佐々木様ですね。ご案内致します」アルバイト風の女性が答えた。
テキパキとした感じでそのスタッフは席まで案内してくれた。
「豚が豚を呼ぶのシステムはご存知でしょうか?」
「大丈夫です。知っています」あらさんが返事した。
「豚が豚を呼ぶスタンダードコースと飲み放題アルコール付き1名で」
「かしこまりました。最初のドリンクはいかが致しましょうか?」
「生ひとつと…あらさん、何にする?」
「僕はコーラで」
「かしこまりました。すぐにお持ち致します」
「お願いします」
女性スタッフは一礼してドリンクを取りに行った。
「今日は飲むでぇ」と嬉しさが溢れ出るような感じで声を出した。
僕はお酒が飲めるだけでテンションが上がっていた。
「毎日飲んでますやんっ」
「そうなんやけどな、やっぱ嬉しいやん。仕事後のビールって」
「まぁそうですけど」
「ごめんな、俺だけ飲んで」
「悪いと思ってませんやん」
「そんなことないで。次は歩いて来よう」
「駅近にしましょう。豚が豚を呼ぶは車がないと厳しいでしょう。酒メインでいきましょう」
「前の守山駅近くのバー良かったなぁ」
「でしょう。僕の知ってるお店はいい店なんですよ」
「確かに。あのスタッフさんもカッコよくていい感じやったもんなぁ」
「カッコいい女性って感じですよね」
「あのバーに合ってるわ、あのお店で働いているからあんな感じなのかな?仕事が人を作るな」
「一人でふらっと行って2.3杯飲んで帰るのにいい感じですわ」
「確かに。近所にああいうお店があるのが羨ましいわぁ」
「守山引っ越します?」
「それいいな」
そこへさっきのスタッフさんとは違う女性がビールとコーラを運んできた。
「ビールのお客様?」
「はい、僕です」
ビールを僕の前に置きコーラをあらさんの前に置いた。
「ごゆっくりどうぞ」
スタッフさんが立ち去った後に僕とあらさんは乾杯をした。
僕は一気に生ジョッキの半分くらいまで飲み干した。
「はぁ〜やっぱりこの一杯はうまい。この1杯のために生きているわ」
「大袈裟ですねぇ(笑)。でもそんなに嬉しそうな顔見たらこっちも嬉しいですわ」
「そう?仕事が終わってお酒が飲めて明日が休みってそれだけで最高やん」
「まぁそうですね。僕も明日休みなんで気持ちはだいぶ楽です。うちらの仕事は平日休日がないから良い部分と悪い部分がありますね。それと仕事の疲れ方がちょっと違う」
「確かに。サラリーマンの日曜日の晩が憂鬱っていうのはないもんね。お客さんの誰を接客するかで疲れ方がだいぶ違ってくる。ひどい時だと疲れ方が3倍くらい違う」
「ほんまですね。うちらのヒーリングスペースだと固定給だから何人揉むっていうのが関係ないけど請負だとかなり気を揉む。最低保証があればいいけど無いとしんどいですね」
「オーナーの考え方次第だろうね。時給か歩合かはその時によって変わるからね。入社当時は時給がいいと思ってもやっぱり歩合がいいと思うこともあるやろうしオーナーがしっかり集客対策をしていれば歩合も活きてくるけど集客がずさんだと時給の方がいいし」
「だから1年ごとに歩合か時給を選べるようにするのがスタッフファーストでしょうね。でも歩合だと最低保証はしてあげるべきでしょうね。命と同じ大切な時間を拘束しているんだからそれなりの見返りをオーナー側は保証すべきでしょうね。それとヒーリングスペースで働いているメリットがあるようにする努力はオーナー側はすべきでしょうね」
「お金以外のメリットをスタッフに見出せるようにするとベターだろうね」
「表面上だけで納得をさせるのではなく各々のスタッフが心から腑に落ちるようになるように帯刀さんともよくミーティングしていますよ」
「なるほど。帯刀さんもああ見えて繊細やもんね。お金を上げるだけやったら誰でもできる、それ以外のことでスタッフを動かさなあかんって言ってたなぁ」
「本当は帯刀さんには現場には出て欲しくないんですよね。オーナーにはオーナーの仕事があると僕は思うんです。マッサージがうまいっていう技術的なことはあまり重要じゃない。それはNo.3でもできること。そんなことでスタッフを押さえつける必要はない。それよりもお店の進むべき道を広げるために時間を使って欲しい。それはオーナー同士でつるんでお酒を飲むことではない。もちろん営業活動でもない。帯刀さんもそんなことわかってると思うんですけどね」
「その辺は俺にはよくわからんけどあらさんには色々と思うことがあるんやね」
「まぁ最終的には帯刀さんのお店ですから」
そんなことを話しながらお酒が深くなると僕は適当なことを適当に話しあっという間の飲み会終了。
「きっちり割り勘で」あらさんが僕に言った。
「ありがとう」僕は素直に受け入れた。
帰り道が反対だったがあらさんは何も言わず家まで送ってくれた。
「奥さんによろしく伝えておいてね」
「佐々木さんやったらしゃあないって言ってます」
「俺が金持ちになったらいっぱい奢るわ」
「期待して待ってます(笑)」
「ありがとう」
家に入ると勢いでお風呂に入った。というかシャワーを浴びた。
お酒を飲んだ後でもこのシャワーを浴びておかないと朝起きた時が気持ち悪い。
だから僕は必ず1日に1回はシャワーもしくはお風呂に入る。夏などは2回入る時もある。朝起きて入って夜寝る前に入る。意外と綺麗好きなのである。
シャワーから出たらバタンキューで寝てしまった。
「チャリーン」
今週はここまで
来週は9/18(土)朝6時更新
かげやん
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